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雑文

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空想の産物
暑い日には
 昼どき日本、僕の頭を悩ませるはただ一つ。お昼ご飯をどうするか。

 季節は夏、うだるような暑さ。立ち止まれば汗が滴り、その汗は地面に落ちるとたちどころに蒸発します。燃えるような太陽に晒されてちりちりとした肌は、熱せられたフライパン上の卵のように、こんがりと焼けそうな気がするのです。血管の血は恐らくどろどろで、体をめぐる速度はいつもより遅く、行動をも緩慢にさせました。
 こんな状態ですから、さすがにラーメンや丼などの熱い物を食べようという気すら起きません。

 ショック療法としましては、唐辛子をふんだんに使った韓国料理、熱を与える辛い香辛料の入ったカレーという手もありますけれど。しばしの間は暑さを忘れ、辛い料理に舌鼓。その後に襲う猛烈な汗は、ぐっしょりとシャツを濡らし、小さなハンカチなどでは決して全てを拭いきれず、辛い成分が入っているのではと思えるほどなのです。外で食べる暑い夏の昼どきに、少なくても僕にはですけれど、辛い料理は合わない気がしてなりません。


 頭に直接降り注ぐ燦々(さんさん)とした太陽に、ついには思考も奪われて、こう結論を下します。いつもの場所ではどうだろう。あまり人のいない、だけれど美味しいそば屋さん。既に店のおじさんとは顔なじみ、会えば世間話をするのです。
 おじさんが注文を取りに来ます。何を注文するかわかってるかのような、いつも通りのその笑顔。こちらもいつも通りに勢いよく頼むのです、天ざるとビールとを。


 ざるそばののど越しはよく、何枚でも胃に入る気がします。天ぷらは揚げたてで、衣はこんがりきつね色、噛めば音はさっくりと、すぐさまジュワッっと口いっぱいに広がって。ビールはきんきんとよく冷えて、グラスももちろん冷たくて、きれいな泡が立ちました。


 昼どき日本、僕の頭を悩ませるはただ一つ。どうやったらこのビールで火照った赤ら顔を隠せるか。頭に直接降り注ぐ燦々(さんさん)とした太陽と、まわりにまわったビールとで、ついには思考も奪われて、こう結論を下します。

 ばれてもいいや、かまわない。飲めるときに飲めばいい。なるようになる、ケセラセラ。

 ビールの混ざった血液は、頭をゆっくり働かせ、思考をも緩慢にさせました。


参考文献

まほさんのホームページ「happy! happy!」
http://member.nifty.ne.jp/mahomaho/


あとがき 夏の暑い日と僕、そしてビール  −まほさんへ−

 この話は半分フィクションで、半分ノンフィクション。まほさんのホームページ「happy! happy!」を見てビールが無性に飲みたくなり、何かビールが飲みたくなるような文を書かねばと、急に思い立ち書き始めました。

 夏の暑い日に天ざるとビールを注文するのは、僕の何よりの楽しみ。もちろん天ざるビールの時は一人で食事をします。それなので食後に事情を知らない周りから、そんなに赤い顔をして大丈夫?熱あるんじゃない?と、心配そうに聞かれます。
 普段は真面目で通っている僕ですから、ビールを飲んでいるなんてだれにも疑われないのです。そういった反応を見るのも面白く、夏の天ざるビールをやめられそうにありません。

 夏の暑い日にはビールを飲みましょう。

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