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雑文

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日々の観察、能書き
毬栗(いがぐり)と一握の砂
 今年もまたこの季節がやってきました。全ての都道府県から集まった高校球児達が八月中に試合を重ね、日本の頂点を決めるのです。しなやかな腕から生み出される緩急自在の白球、それを闘志むき出しの目が捉えグランドに打ち返します。スタンドには母校や地元からの応援団、テレビの前で見守る大勢の人たち。爽やかな笑顔、綺麗に刈り上げた頭から滴る汗、敗戦時に見せる純粋でひたむきな涙。勝者は次に駒を進め、敗者は一握の砂を持ち帰り、来年こそはと雪辱を誓うのです。夏の全国高校野球、今年も彼らの暑い夏が始まりました。


 夏の全国高校野球、これを毎年楽しみにしている人は多いんじゃないでしょうか。サッカーW杯は終わり、野球も巨人の独走となり興味が失せ、スポーツの話題といえば高校野球に自然と向かうようで。

 こういうと怒られそうですけれど、あえて言います。高校野球なんて大嫌いだと。
 あばた面で素人丸出し半人前の、どう考えても強制されて切らされたとしか思えない頭をした坊主どもが、36度とかいう体温と同じぐらいの気温の中、熱中症や日射病の危険を全く省みず、連日連投肩を痛めながら心身共に疲れ果てボロボロになり、それでも業界の思惑からか金属バットの使用を止められず、そのくせバントを多用し見ている方はどっちらけ、大人のエゴにつき合わせられたかのような、これっぽっちも思ったことのない郷土愛や愛国心を見る者に押しつけてくる、そんな高校野球など僕は大嫌いなのです。

 反対意見を書き連ねてみましたけれど、野球自体は大好きなのでやっぱり見てしまう高校野球。こんな風になれば高校野球はもっと面白くなるのでは、という改革案を建ててみました。

・金属バットの使用を止める。こうすることで投高打低となり、ピッチャーの消耗は格段に押さえられる。さらにバントの多用を禁止する。バントは一試合三回までとか、ノーアウトの時のバントは禁止など。

・夏の暑さは高校球児を確実に疲労させ、その後の野球生活に悪影響を与えます。ならば夏でも涼しいドーム球場ではいかがでしょう。球児も爽やか、スタンドの応援も爽やか。

・時代の流れもありますから、坊主頭を強制するのをやめては。茶髪にしようがスキンヘッドにしようが、何でもあり。ワールドカップ期間中のベッカムよろしくソフトモヒカンでも良いですよ。

・都道府県ごとの一校の格差をなくします。選挙だって一票の格差が問題になる時代。出来る限り同じ条件でしよう、というのが政界の流れ。ならば高校野球の高野連も流れを変えましょう。都道府県ごとに高校の数が全く違いますから、それを何とか是正するのです。たとえば、東京を2つに分けるように。何なら同一県下の二チームを一つにまとめた混成チームにしても良いのでは。上手くすれば大阪と同じぐらいの強さになって見る方も面白いかも。

・トレードや戦力補強もアリにする。有力な中学生を青田刈り、そしてトレードや戦力補強を繰り返し、自校をレベルアップ。お金のない公立は必死のスカウト活動を展開。外国人留学生枠を作り、制度をフル活用し、助っ人をどんどん転入させる。中軸選手すべて外国人というのもアリ。もちろんこき使われた中心選手にFA権を与え、自由に学校を行き来させます。賢い選手なら弱いチームに行って、ワンマンチームを作るのも目立って良いのでは。

 どうです?もうプロ顔負けの野球が見られること請け合い。

 ところで何故ここまで高校野球は嫌いだと言い放つ僕が、陰でこんなに高校野球の事を思っているか。
 それは僕の母校には野球部が存在しなかったから、この一言につきるのです。高校卒業以降、どれだけ高校野球のある高校を羨ましいと思ったことか。八月に入り高校野球が始まってからの会話のかみ合わないことといったらないのです、人に会えば真っ先にこの会話が来ますから。俳句で言うところの季語。必ずこの話題を振らなければいけないという、暗黙の了解のごとし。あぁ、母校に野球部があることの羨ましさといったらありゃしない。

 好きと嫌いは表裏一体。甲子園の砂なんて売り出さないかな。頑張れ、高校球児たち。

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